部活動とタイムマネージメントについて思うこと

最近インターネット上などで、「部活の在り方を考え直すべきだ」という議論をよく見かけます。これについては、私自身もこのブログで何度か記事にしてきましたが、改めて部活動でどんな力を育てたいのか、自分自身に問う意味で今日はつぶやいていこうと思います。
議論の中で最も多い意見は、「部活が多すぎて生徒も教員も疲弊している」「顧問のなり手がいない」「もっと気軽に部活をやりたい子どももいるはず」「部活に時間を取られて勉強ができない」など、時間的なこととの関わりのような気がします。
そこで、Twitterの投票機能を利用して、吹奏楽部に所属している中高生が週にどのくらい部活をしているのかを調査してみました。もちろん母集団は私をフォローしているような人ですから、恐らく熱心な吹奏楽部員が多いでしょうし、母数もそんなに多くないですから、結果には偏りがあるかと思いますが、一つの傾向としてこの結果を利用していきたいと思います。

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この結果から見ると、週に5回以上活動している人が86%と、約9割近いことがわかりました。細かい日数や曜日、時間帯などまでは調べていませんので何とも言えませんが、多くの吹奏楽部員が何らかの形でほぼ毎日部活に触れているということは一つ言えることなのかなと思います。
自分自身を振り返ってみると、定められていた部活の時間は次のような感じでした。
・小学校(金管バンド): 週2回、計2時間
・中学校(吹奏楽部): 週2回、計4時間
・高校(吹奏楽部):週4回、計14時間
・大学(管弦楽団):週3日、計8時間
こうして振り返ってみると、実は「週4日以内」の14%の人に分類されるわけで、割とゆるい部活で過ごしてきたのかもしれません。恐らく「強豪校」と呼ばれる学校の人たちから見たら、お遊び程度にしかやっていなかったかもしれません。
でも実際のところ、活動日は合奏が多く個人練習の時間が少なかったため、中学に入ってからほぼ毎日のように自主練はしていましたし、恐らく中高6年間で楽器に触れなかった日数は両手で数えられるほどだと思います。決められた活動日だけ練習していたわけではない分、上達につながった部分は多かったかもしれないと思います。
楽器の上達には、どうしても時間がかかります。
プロ奏者になるためには、1万時間の練習が必要だとも言われています。
もちろん全員がプロ奏者になる訳ではありませんし、中には少ない練習ですぐに吹けるようになってしまう人もいるかもしれません。ただ自分は不器用だし、譜面を読むのも遅い方で、人の何倍も練習しないと追いつけないタイプでしたから、どうしても上達するためには時間が必要でした。
そして、吹奏楽はチームでやる音楽です。
だからこそ、合奏で合わせる時間はもちろんのこと、合奏の時間以外のところで、個々がどれだけさらいこんでこれるかで全体の仕上がりもだいぶ変わってくるものです。大変かもしれないけれど、自分のできる精一杯をやって合奏にのぞみ、みんなで頑張りを共有しながら音楽づくりをしていくことで、何とも言えないステージでの達成感を得られるような気もします。
そう考えてみると、ただやみくもに練習をすればいいとも思いませんが、ある程度の時間を確保していくことは大切なことのように思います。
一方で、部活ばっかりで、帰ってからもラッパを吹いていたような自分ですから、勉強時間は極端に少なく、成績は決して良い方ではありませんでした。今考えてみると、メリハリをつけずに、ダラダラと中高生活を送ってしまったなと反省することもあります。ラッパももっと上手くなる方法があっただろうし、部活の運営ももっとうまくできたでしょう。勉強だって、少しずつやっていればもう少しくらいはできたかもしれません。今となっては後の祭りではありますが、こうした自分の経験から言えることがあります。
それは、
忙しい部活だからこそ、タイムマネージメント能力が問われる
ということです。
1人に与えられている時間は平等に24時間しかありません。睡眠に8時間、食事、風呂・トイレ、通学、学校の授業などに費やす時間が10時間ほどだったとすると、自由に使うことができる時間は6時間あります。部活の活動時間が3時間だったとすると、3時間は余ります。そのうち2時間を学習にあてても、1時間は残るわけです。
こうして考えてみると、実際にメリハリをつけて行動できるかどうかは別として、夜中まで部活をやる学校でもない限りは、勉強との両立、趣味との両立は可能だと考えられます。
活動日や時間を大人が制限して、お膳立てをすることも時には必要かもしれません。でも、失敗をしながらでも、自分自身で自分の時間の使い道を考え、タイムマネージメント能力を養っていくことは、社会に出てからの成功のためにはとても大切な機会であるような気もします。
ただ、活動時間が長ければいいわけではありません。
中身が伴っていなければ、それはただの無駄な時間になってしまうでしょう。
でも、本気で考えて取り組んだ時間というものは、必ず自分の糧になってくれるはずです。

部活動は、何もその道の技術を高めていくだけのものでも、勝利の喜びを味わうためだけのものでもありません。教育活動の一環である限り、子どもたちにどんな力を育てたいか、指導者は考え続けたいものです。
難しい問題ですが、これからも考えていきたいと思います。

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部活動とタイムマネージメントについて思うこと” への4件のコメント

  1. 大阪府立北野高校吹奏楽部では3年の最後までクラブをやる子は進路が決まるというジンクスがあるそうです。まぁ橋本大阪市長が出たような頭のいい高校だからじゃないの?と思うなかれ、私の周りでも実際に3年いっぱい活動してる子はかなりの割合で進学が決まってます。成績が伸びないからと言ってクラブを制限する親や生徒がいますが、この例から見てもクラブ活動は成績不振の言い訳にはなりません。社会人になれば時間がないからできませんは言い訳にもなりませんが、実際に時間は使いようで、結果の違いは ヤレでやる か ヤルでやる の違いではないかと感じてます。

  2. コメントありがとうございます。
    「ヤレでやる か ヤルでやる の違い」は確かに大きいかと思います。だからこそ「ヤルでやる」方向に仕向けるにはどういうアプローチがいいのかを考える必要があるのかなとも思います。自分の頭で考えてタイムマネージメントをし、自分の頭で考えてすべきことをピックアップして実践することは、勉強でも部活でも大切になってくるかと。時間ができたからといって必ずしもその時間をすべて学習に当てるかは甚だ疑問ですしね・・・

  3. ヤルでやる にいかに仕向けるか
    本質的な課題はそれに尽きますね
    指導でも子育てでも一番難しいのはそこですよね
    ヤレと言うまでやらない子供
    ヤレと言ってしまってはヤルにならないジレンマ
    過ぎる時間と積もるイライラ
    親身であればあるほどストレスフルな時間
    これは何かの修行なのでしょうか?
    この禅問答のようなお題にスカッとする答えをお持ちの方は
    是非お便りをいただきたいものです。
    ただ、以前お世話になった上司で執務時間が始まると
    今日どうするの?
    とサラリと聞いてこられて
    別にないですとは言えず、できそうな目標を言わされた事がありました。
    あの頃は毎月仕事の成果が良かった気がします。

  4. その上司の方の声かけの絶妙さ、なんとなく分かる気がします。自分も職場の先輩に、「小野さんだったらどうする?」と聞かれるとノープランでいるわけにもいかず、無理矢理にでもプランを立ててがむしゃらに仕事をしていた気がします。とても忙しかったですが、それが決して苦痛という訳でもなく、充実していたかなと。
    声かけの仕方、相手によると思いますが、ただ命令形になったり、強制したりするのではなく、その人のやる気に自身で気付くように仕向けていくことが大切なのかもしれないですね。

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