逆転の発想を大切に、新しい道を切り開く!

世界中に広まりつつある新型コロナウイルスの影響で、各地で行われるはずだったイベントが次々と中止になっています。

私が顧問をしている部活でも、定期演奏会がいったん中止となり、さらには休校になって活動そのものもできない状態が続いています。

以前のブログでも書きましたが、そのような中でも、最上級生である高2の生徒たちが、毎日Google Classroomをつかって、部員にメッセージを投稿し続けてくれています。先日作成した部内Web Siteを活用して音源を聴いたり、それぞれができることを考えて少しずつやってくれているようです。

休校→活動停止 ~今ここでできることを探そう!~

 

注目を浴びた2つのライブ配信

この週末は、クラシック音楽の業界でも、とても大きな動きがありました。それは、2つの演奏会のライブ配信が、世間的にも注目を浴びたということです。

・東京交響楽団「名曲コンサート」
https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324588340

・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールプロデュース
 ワーグナー:オペラ「ニーベルングの指環」から「神々の黄昏」
https://www.biwako-hall.or.jp/topics/20200304_7455.html

すでにベルリン・フィルは、「ベルリン・フィル・デジタル・コンサートホール」という取り組みを2008年から始めています。しかし日本国内で考えてみると、ライブ配信をしているアマチュア楽団などもぼちぼちありましたが、国内のプロ楽団ではまだ数が限られている印象がありました。また、「やはり音楽は生でなくちゃね!」という論調も強く、普及が妨げられているようにも感じていました。

もちろん、生で体験するに勝るものはないと思います。自分自身、演奏を聴きに行っても感じることですし、演奏していてもお客様からエネルギーをもらって、本番だからこそ体験できたこともたくさんありました。

「コンサートはナマモノ、演奏者と観客の相互作用によって生み出されるものも多い」というのは確かなことです。しかし、私自身も今回のライブ配信を鑑賞して、それだけにこだわるのもどうなのかなと改めて感じました。

 

実際、視聴してみてどうだったか?

私は東京交響楽団のライブ配信を視聴しましたが、イヤホンで聞いたら音質も良く、ホールの客席で聴いているような迫力も感じました。また、コメントを見ながら聴くのも普段ではできない斬新さがありましたし、コメントの中で観客同士のやりとりが発生していて、「こういう視点で聴くのも面白いな」と思うこともありました。

また、上のニュース映像にもあるように、曲間でちゃんと「888888888」と拍手する人がたくさんいたり、「ウェッホン」と咳払いする人までいて、映し出された客席には人がいないのだけれども、本当に演奏会に出かけて聴いているような臨場感とあたたかみが感じられたのが不思議でした。

 

ライブ配信は、クラシック音楽の救世主になり得るのか?!

翌日にはTVのニュース番組でも取り上げられていました。

会場となったミューザ川崎コンサートホールの収容人数は1,997人です。それに対し、実際に配信で視聴した人数は85,247人。実に収容人数の42.7倍の人が視聴したわけです。

残念ながら空席が目立つというクラシック音楽の演奏会も少なくありません。その中で、これだけの人が視聴したということは、とても意味のあることだと思います。

なかなかチケットを取って、コンサートホールまで足を運ぶのがハードルが高いと感じている人でも、ライブ配信をきっかけに「何これ面白そう」 と思う人が増えれば、有料配信でも視聴する人が出てくるだろうし、さらにはコンサートホールまで足を運んでみようと思う人も増えるかもしれません。少なくとも、クラシック音楽を身近な存在に感じるいい手段にはなりそうだと思います。

また、地方でなかなかプロの楽団の演奏会を聴く機会のない人や、小さい子どものいる人、病気やけがなどの理由でホールに足を運ぶことができない人など、「行きたくても行けない」と思っている人にとっても、貴重な機会になることは間違いありません。

このように、無料開放のライブ配信がきっかけとなり、これまでコンサートの収益とは縁遠かった層も取り込んでいくことで、プロ楽団のサポートにもつながり、もっとクラシック音楽業界も盛り上がっていくような気もします。

 

「ライブ配信」だからこそできること

もうすでに、「アーカイブ動画でも名演を視聴できる」ということもあるでしょう。それも必要なことですし、往年の名演を動画で視聴できることはとても貴重な財産だと思います。

ただ、今回のライブ配信を通して、ニコニコ生放送ならではのコメントが飛び交ったり、ライブ配信を見ている人たちがTwitterに集まってきてツイートしていたり、「今」を共有することってとても大切な要素なのではないかなと思いました。ラグビーワールドカップのライブビューイングも盛況でしたし、ホール以外のところでたくさんの人が同じ時を共有し、共に演奏会を盛り上げられたら、大きな収益にもつながりそうですし、そうなれば、クラシック音楽業界はとても元気に活発になっていく気がします。

若い人たちを中心にCD離れが進んでいると言われています。誰もが簡単に発信できる時代。YouTubeやTiktokなどの動画サイトには、様々な人が撮った動画があふれています。しかし残念ながら、誰でも発信できるからこそ、質が担保されているとは限りません。

できたら子どもたちには、音楽をする心にあふれた、プロの全力の音楽を聴かせたいものです。そのように考えたとき、このライブ配信の手法は、これからプロの楽団の間にもどんどん広まっていってほしいなと思うばかりです。

もちろん、機材などの初期投資も必要ですし、音質をより求めていったらその初期投資も大きなものになります。すべてのプロオーケストラがすぐにできるかといったら、難しい面もあるかもしれません。

でも、ライブ配信が注目されている今だかこそ、チャンスだと思うのです。言うだけなら簡単ですし、無責任な発言かもしれませんが、ぜひ、いろんな楽団でやってみて欲しいなと思ったりもします。

そのうち、プロオケのチラシに、
S席 ◯◯円
A席 ●●円
B席 △△円
C席 ▲▲円
N席 □□円(ネット配信席)
と書いてあったりして。そんな世の中になったらいいなと思ったりもします。

中止になった部活の定演も、本当は生で聴いてもらいたいし、生徒たちにもお客さんからの大きな拍手をもらってほしいけれど、何もやれないくらいならライブ配信で関係者だけに聴いてもらうでもよいから、何かしらやってあげたいと、今回の出来事を通して思いました。

 

今は「次のステージに向かうための準備期間」だ!

きっかけは新型コロナウイルスということで不本意なところはあるかもしれませんが、こういう時こそ逆転の発想で、いかに今あるものを活かして、その先に進んでいけるかを模索していく時だと思います。

安定しているときは、大きな冒険をしようとはなかなか思わないもの。
「火事場の馬鹿力」ではないけれど、人は何か追い込まれたりしたときに、計り知れないエネルギーを発揮したりするものです。

つい後ろ向きなニュースが目に付いたり、自分本位な行動に振り回されたり、目の前の生活のことを考えると、ネガティブな方向に気持ちが引っ張られやすい今日この頃だと思います。一筋縄ではいかないことも多いと思います。

ただ、この今の状況を嘆いていても、何も始まりません。今がいろいろなことが次に進んでいくための準備期間だと思って、今いろいろ力を蓄えられた人は、きっと次に花開くことができるはずです。

「転んでも、ただじゃ起きない」

そう思って、今できることを探して、ただがむしゃらに挑戦してみることも、今は大事に出来たらと思ったりもします。

もうすぐ季節は春。
自分自身も「絶対やってくる春」を信じて、日々頑張っていこうと思います。

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