先日アレクサンダー・テクニークの授業でフィンガリングについて見て頂く機会がありました。以前も記事にしたように、私は速いパッセージになるとパニックになるほどフィンガリングに苦手意識があります。
《過去記事》
苦手モードから脳を解放して、速いパッセージを吹けるようにする!
それでもトランペットのレッスンを受けたり、アレクサンダー・テクニークを学ぶ中で、以前よりはだいぶ改善されてきましたが、先日の授業でのアクティビティがまさに目からウロコだったので、今日はそれをシェアできたらと思います。
|手の指の役割はもともと何だろう?
「指」と調べてみると、日本大百科全書(ニッポニカ)には次のような記述があります。
指 ゆび
|親指も仲間に入れてあげる!
ヒトの指は、親指と人差し指・中指・薬指・小指に分類することができます。中でも特徴的なのは親指で、親指だけは骨のつくりも曲げたり伸ばしたりするための筋肉も他の指と異なります。
もちろん、それぞれの指は単独のものではありますから、それぞれ独立して動かすことは可能です。しかし、「ものをつかむ」と考えたときには、“親指とその他の指でつかむ(つまむ)”という動作が自然な動作だと言えます。
私は意識の中で親指は「支える」というイメージが強かったため、完全に親指を固めてしまうのが癖になっていました。
紆余曲折ありますが、左手を痛めて右手だけで吹いていたことがあったり、「左手で支えて、右手は軽く添える」という考えのもとに、しばらく次のような持ち方をしていたのも原因の一つかもしれません。
迷子になりやすいラッパ吹きの右手親指。持ち方もその役割も、人によっていろいろな意見もあったりして、自分もずいぶん迷いましたが、最近は自然に楽器に添わせて持つのが一番やりやすいかなと思っています。
それに加えて今回、先生に「親指も仲間に入れてあげて、“つまむ”という動きを意識してみたらどうなりますか?」とアドバイスを頂き、そのプランを試してみました。
いや~、自分でも驚くくらい、自然に指が周りました。
クラスメイトからも拍手と「おぉ~」という声があがるほど、実験する前と状態が変わりました。
それからしばらく自分でも練習してみましたが、もちろん苦手が完全に克服されたわけではありませんが、以前よりも指の練習にかける時間が少なくなったように感じます。
やはり本来からだの構造がどのような動作のために進化してきて、どのようなつくりになっているのかということを知ることで、動きの可能性が広がることはいっぱいあるのだなと再認識させられた瞬間でした。
|まとめ
指に限らず、身体のどこか一部だけ動かそうとすると、無理な力が入って逆効果なことは、結構あるような気がします。
ピストンを押さえるときには、実際に押さえる人差し指・中指・薬指たちの仲間に入れてあげて、一緒に「つかみ」にいってあげると、指にとってより自然で動きやすい状態をつくってくれます。親指を固定し不自由にしていると、本当にフィンガリングにも影響が出ます。
無理に動かそうとする必要はないですが、いつでも、からだの必要な部分は動ける状態にあると、いざ必要な時に自分の体が必要だと判断して動いてくれるものかもしれません。
意図的にコントロールしようとしすぎず、使えるものはたくさんあるのだ、使わなくても大丈夫な動作もあるのだということを頭の片隅に置いて、表現したいものを実現していく努力をしていけたらと思います。