親指も仲間に入れてあげる!

先日アレクサンダー・テクニークの授業でフィンガリングについて見て頂く機会がありました。以前も記事にしたように、私は速いパッセージになるとパニックになるほどフィンガリングに苦手意識があります。

《過去記事》
苦手モードから脳を解放して、速いパッセージを吹けるようにする!

苦手モードから脳を解放して、速いパッセージを吹けるようにする!

それでもトランペットのレッスンを受けたり、アレクサンダー・テクニークを学ぶ中で、以前よりはだいぶ改善されてきましたが、先日の授業でのアクティビティがまさに目からウロコだったので、今日はそれをシェアできたらと思います。

 

手の指の役割はもともと何だろう?

「指」と調べてみると、日本大百科全書(ニッポニカ)には次のような記述があります。

指 ゆび

脊椎(せきつい)動物の四肢(しし)の末端で数本に分かれた部分をいい、ヒトでは左右の上肢、下肢にそれぞれ5本ずつあり、中手(足)指節関節から先の部分に相当する。指の骨を指骨とよび、各指は母指(ぼし)(親指(おやゆび))を除いて基節骨、中節骨、末節骨の3本から構成される。母指だけは中節骨がなく、基節骨と末節骨だけである。
手の各指は橈骨(とうこつ)側(母指側)から順に第1指、第2指~第5指とよぶ。第1指は拇指(ぼし)とも書き、第2指は示指(しし)・人差し指・食指(しょくし)、第3指は中指(ちゅうし)(あるいは「なかゆび」)、第4指は環指(かんし)・無名指(むめいし)・薬指(くすりゆび)・紅(べに)さし指、第5指は小指(しょうし)(あるいは「こゆび」)などともよばれている。手の指の関節のうち、基節骨と中手骨(手のひらを構成する骨)との間(指の付け根に相当する)の関節は、母指の場合を除いて、球関節の構造をとり、自由な方向に運動できる。母指の場合は蝶番(ちょうつがい)関節で、屈伸運動のみである。このほかの各指節骨の間はすべて蝶番関節となるため、指は屈伸運動しかできない。指の大まかな屈伸運動は前腕の筋(きん)から出る長い腱(けん)によって行われるが、指の細かな屈伸運動や開閉運動、物をつかんだり、ねじるような運動は、手掌にある小さい筋群の協調的働きによって行われる。なお、母指と小指とを近づけるという、ヒトに特有の運動は、母指と小指の根元にある膨らみ(母指球と小指球)の中にある筋群によって行われる。
足の指の骨の構成は、手の指の骨と同じであるが、運動性は、屈伸以外にはほとんどない。とくに足の小指は退化傾向が著しく、中節骨と末節骨とが骨性癒合していることもある。手および足の指の皮下組織は脂肪も少なく、神経や血管が豊富に分布しており、知覚もきわめて鋭敏である。指や爪(つめ)に炎症をおこしたとき、激痛に悩まされるのはこのためである。

 

動物の指
指は、魚類でひれの先端を支えていた骨格が陸上生活に適するように変化して生じたと考えられている。両生類におけるその出現以来、指は5本に分かれていて(五指性)、あらゆる脊椎動物において基本設計は共通である。しかし、2、3、4本のこともあり、現生のウマでは1本だけが発達している。指にある指骨の数は、哺乳(ほにゅう)類では母指が2個、他の指が3個であるが、爬虫(はちゅう)類や魚類には4~5個からなる指もある。爬虫類以上の動物には指の背側にその末端を保護する、さまざまな形のつめをもつものがある。指は動物の生活様式による変異がみられ、樹上生活を営むものでは手が発達し、指が長い。コウモリでは前肢の母指に鉤(かぎ)づめがあり、他の指は長く伸びてその間に飛膜が張っている。クジラやアシカの前肢は水かきが発達しているが、内部の骨格は五指性を保っている。

 

これを読んでみても分かるように、本来指とは、「ものをつかむ」という動作のために発達してきたものだと考えることができます。
人間の活動の中では、さらにそれが発達して様々な動作をするために利用するようになっているわけですが、もともとは「ものをつかむ」ために進化してきたものであると考えると、その動きを意識して使うことで、指の機能はより自然に利用できるものと考えられます。

 

親指も仲間に入れてあげる!

ヒトの指は、親指と人差し指・中指・薬指・小指に分類することができます。中でも特徴的なのは親指で、親指だけは骨のつくりも曲げたり伸ばしたりするための筋肉も他の指と異なります。

もちろん、それぞれの指は単独のものではありますから、それぞれ独立して動かすことは可能です。しかし、「ものをつかむ」と考えたときには、“親指とその他の指でつかむ(つまむ)”という動作が自然な動作だと言えます。

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私は意識の中で親指は「支える」というイメージが強かったため、完全に親指を固めてしまうのが癖になっていました。

紆余曲折ありますが、左手を痛めて右手だけで吹いていたことがあったり、「左手で支えて、右手は軽く添える」という考えのもとに、しばらく次のような持ち方をしていたのも原因の一つかもしれません。

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迷子になりやすいラッパ吹きの右手親指。持ち方もその役割も、人によっていろいろな意見もあったりして、自分もずいぶん迷いましたが、最近は自然に楽器に添わせて持つのが一番やりやすいかなと思っています。


それに加えて今回、先生に「親指も仲間に入れてあげて、“つまむ”という動きを意識してみたらどうなりますか?」とアドバイスを頂き、そのプランを試してみました。

いや~、自分でも驚くくらい、自然に指が周りました。
クラスメイトからも拍手と「おぉ~」という声があがるほど、実験する前と状態が変わりました。

それからしばらく自分でも練習してみましたが、もちろん苦手が完全に克服されたわけではありませんが、以前よりも指の練習にかける時間が少なくなったように感じます。

やはり本来からだの構造がどのような動作のために進化してきて、どのようなつくりになっているのかということを知ることで、動きの可能性が広がることはいっぱいあるのだなと再認識させられた瞬間でした。

 

まとめ

指に限らず、身体のどこか一部だけ動かそうとすると、無理な力が入って逆効果なことは、結構あるような気がします。

ピストンを押さえるときには、実際に押さえる人差し指・中指・薬指たちの仲間に入れてあげて、一緒に「つかみ」にいってあげると、指にとってより自然で動きやすい状態をつくってくれます。親指を固定し不自由にしていると、本当にフィンガリングにも影響が出ます。

無理に動かそうとする必要はないですが、いつでも、からだの必要な部分は動ける状態にあると、いざ必要な時に自分の体が必要だと判断して動いてくれるものかもしれません。

意図的にコントロールしようとしすぎず、使えるものはたくさんあるのだ、使わなくても大丈夫な動作もあるのだということを頭の片隅に置いて、表現したいものを実現していく努力をしていけたらと思います。

 

 

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