上級生であれば、一度は「どうやって教えればいいか分からない」と思ったことがあるのではないでしょうか。
特に、自分自身もあまりできていなかったりすると、「こんな自分が教えてもいいのだろうか」と不安になることもあるかと思います。
でも、安心して下さい!
それは当たり前のことです。どんなに経験を積んだ先生だったとしても、「今日はうまく教えられた」と思うことよりもば、「どうやって教えたら伝わるのか」を考えていることの方が多いような気がします。
今日は「教える」ということについて、つぶやいていきたいと思います。
|何を目指すかを明確に、相手をよく観察すること
人に何かを教えようとするときに大切なこととしては、
- 自分が何を目指しているのか明確に分かっていること
- これから教えようとすることを自分が理解していること
- 相手がどのような状態にあるかを観察すること
などがあげられるかと思います。
この中で特に大切なのは「相手がどのような状態にあるのかを観察すること」だと思います。
いくら正しいことを述べ続けていったとしても、相手の状態に合わないアドバイスをしても仕方がありませんし、相手が分かっていなさそうだったら意味がありません。
また、自分が誰かを教えることで何を目指したいのかということがイメージできていないと、相手を観察するときの視点が定まらず、指摘が一貫性のないものになってしまうこともあります。
教員であればこれらのことを普段から考えて授業や指導にあたる必要があるわけですが、先輩やリーダーとして仲間の前に立って仕切らなければいけないときにも、できたら考えられたらいいことなのかなと思います。
|音楽の指導で大切なこととは?
音楽の場合であれば、まずは「出てきた音を聴くこと」に専念してみるといいのかなと思います。
これは何もプロの音楽家でなくてはできないものでもありません。
生徒たちを見ていても、部活の中で自然と「聴く」ということを積み重ねてきています。私の勤務校では必ず合奏後にパートで振り返る時間をとっていますが、それを聞いていても、自分たちの演奏に対して、全く何も感じていない人はいないように思います。何かしら気づいたことは言えているし、それがとんでもなく間違っているということも思いません。
ですから、「教える」と考えるのではなく、まずは「気づいたことを伝える」ということをやってみると、練習の手掛かりになることもあるかと思います。
ともすると“ダメ出し合戦”になりがちではありますが、実際に自分の耳で聴いて、肌で感じ取ったことを伝えるのであれば、誰にでもできることだと思います。
もしかしたら、自分が感じたことを、仲間は気づいていないかもしれません。その気づきのきっかけを伝えるだけでも、充分「教える」ということになるような気がします。
|言いっぱなしで終わらせないために
「気づいたことを伝える」ということができたとしたら、次に大事になってくるのは、「気づいたことを改善するには、次に何を気をつけて練習すれば良いか」ということを考えることです。
これはある程度経験も必要になってくるかと思いますし、はじめは先生や先輩に言われたことをヒントに伝えていくことが多いようにも思います。
最初はそれでもいいと思いますし、何か特別気の利いたコメントを言う必要も全然無いと思います。むしろ言葉で伝えなくてもいいくらいです。
特に自分自身でも自信がないことだったりする場合には、後輩や仲間ができるようになるまで、しつこく一緒に練習するということも、「教える」ということになると思います。
私自身、中学1年の終わりで先輩も同級生もいなくなってトランペットが一人となり、中2で新入生を迎えたときには自分が全部教えなければいけない状況でした。
今思うと無茶苦茶な教え方をしていて申し訳なかったと思うし、もしかしたら自分がちゃんとレッスンについて、きちんとした知識をもってやるべきだったかなと思うこともあります。
今のようにインターネットもない時代。情報もほとんどない中で自分が何とかしなければと思っても、なかなかたいへんでした。でも、たまに来てくださるコーチに練習方法を聞いてみたり、 教本や雑誌の特集、ワンポイントレッスンなどを読み漁ってみたり、ラジカセを持ち込んで自分達の練習を録音して聴きながら練習を進めてみたり、いろいろやっているうちに、自分自身の上達に繋がることもたくさん発見することができました。
要は、考えようです。初めからうまく教えられる人なんてほんの一握りです。すぐに結果が出したいかもしれないけれど、ゆっくり後輩と一緒に自分も育てていければいいのだと思います。
|まとめ
どうやったらできるようになるか、考えて、試してみて、少しでも良くなったら嬉しいものです。ただがむしゃらに曲を通し続けてもできるようにはなりません。
うまくいかない原因はどこにあるのか、細かいところまで分解して、分析していくこと。「教える」ときにも「教わる」ときにも、「自分でやる」ときにも、自分から探究心を持ってやれるかが、上達の唯一のコツだと思います。
もし「どうやって教えたらいいかわからない」と思うことがあったら、自分が一緒に問題解決のために吹いてみること。自分でどうやったらうまくいくか、どうやったらあまり思わしくない結果になるのから体験してみると、伝えたいことが見えてくる気がします。
焦らず、先輩も、先輩としての成長をゆっくり歩みながら、自分自身を高めていけたらいいなと思います。