人の気持ちを考えること、自分の気持ちを大切に表現すること

思いやりの心、気遣いの心、譲り合う精神。
どれも大切なことだと思いますし、集団生活を送る中ではそういった配慮が必要だったりもします。人の気持ちを考えられずに傷つけてしまったり、嫌な思いをさせてしまうことはできれば避けたいところです。
確かに、人の気持ちを考えられないよりは、考えられる方がいいものだと思います。自分のことばかり叫んでいる人よりは、人の話をじっくり聴いてくれる人の方が付き合いやすい面もあるかもしれません。ただ、人のことを考えるあまり、自分の気持ちを押し殺し、必死に我慢してまで、人に合わせることはないようにも思います。
音楽でも同じようなことが言えるのではないでしょうか。
一緒に奏でる仲間のことを考えることは必要ですが、自分を押し殺して互いに牽制していたら、全体としても生き生きとした演奏にはならない気もします。
自分を出すことは怖いことかもしれません。
「どう思われるのだろう」「どう見られるのだろう」という思いは、少なからず誰の心の中にも潜んでいるものだと思います。
でも、人がどう受け止めるかどうかは自分の意思でコントロールできるものではありませんし、自分ができる精一杯の配慮をしたとしても、「どう思われるか」「どう見られるか」ということは自分ではどうすることもできないことです。もちろん「言い方」や「やり方」は考えなければいけない面もあると思いますが、人からの反応を気にしすぎるあまり、自分がせっかく思っていることを押し殺してしまうのはもったいないことだと思います。
自分の中にある思いは、言葉に出してみたり、音で表現しようとしたりしない限り、相手に伝わるものではありません。音楽は表現の手段。だからこそ、上手くいくかどうかは別として、自分の中に伝えたいものを蓄えたり、それを表現しようとしたりという挑戦をしていくことは大切な要素の一つのように思います。
自分のワガママを押し通そうとするのでもなく、自分が思っていることや感じていることを表に出してみようとすること。集団の中で誰も感情や意見を出さなかったら、物事は停滞してしまうばかりです。
大事なのは、自分を出す勇気を持つことと、相手のことを受け入れる寛容さを併せ持つことなのかもしれません。
かくいう自分も、こんなに偉そうなことをつらつらと書いていますが、自分の言いたいことを言いすぎて人に不快な思いをさせてしまったこともたくさんありますし、逆に言いたいことを我慢しすぎて相手に気を遣わせてしまったこともたくさんあります。理想を述べたところで、実際には難しいなと感じることばかりだったりもします。
人それぞれ感じ方も考え方も違います。ぶつかることもあるかもしれません。駆け引きが必要なこともあるかもしれません。でも、あげ足をとるでもなく、我慢するでもなく、全体としてより良い方向に向かっていけるように、互いにプラスにはたらきかけあえる関係をつくっていきたいものです。

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