正しいアンブシュアや正しい姿勢よりも、出てくる音を大切に

先日、Twitterのフォロワーさんからアンブシュアと楽器の構え方について質問がありました。基本的にアンブシュアはよほどのことがない限り直さなくていいと思いますし、良い音を求めていく中で自然にその音を出すためのアンブシュアになってくるというのが今の私のスタンスではありますが、同じように悩んでいる人もいるかもしれないと思い、今日はそのやりとりを紹介したいと思います。
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(Aさん)
こんばんは!
高校2年のトランペット吹きです。
相談があります。
顧問の先生にアンブシュアが悪いと言われました。
私は、ベルが少し上向きで、顔を下げないと音が出ません。それを、顔を正面でベルは少し下向きに直したいのですが、うまくいきません。分かりにくくて申し訳ないのですが、どうしたらいいですか?
アンブシュアを直すのにはどのくらいかかりますか?
よろしくお願いします。

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(自分)
こんばんは。
アンブシュアについては、直した方がいい場合もありますが、直してある程度吹けるようになるまでには半年くらいはかかると思いますし、その際もプロの経験のある方に定期的にチェックしてもらいながらでないと、逆に変な癖がつく可能性があるので注意が必要です。
あと楽器の角度についてですが、出てくる音が良ければ、あまり気にしなくてよいかと思います。人によって骨格も違いますし、一律に同じ構え方になることはないからです。また、音域によって少し角度は変わってもよいと考えられています。演奏に支障がない限りは、アンブシュアはあまり気にしない方がよいかと思います。
顧問の先生は、Aさんのアンブシュアのどのあたりが悪いとおっしゃっていましたか?
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(Aさん)
顧問の先生もトランペットの人なんですが、顔を上げて吹いた方がいいよと言われたんですけど、顔を正面にすると音が出なくなっちゃうんです。
正面にすると音でないですって言ったら、じゃあアンブシュアが悪いんだねって言われました。
なのでどのあたりが悪いとかは言われてないです。

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(自分)
なるほど。確かに顔をあげた方が息の通りはよくなるので、音も通りやすくなると思います。ただナカリャコフさんは演奏しているのを見るとかなり下を向いているけれど演奏上問題はありません。見た目をとるか、音が良ければいいか、そこは好みだと思うのですが、個人的には音が良ければいいのかなと思っています。
特に顔を上げるというところだけが問題なのであれば、顔だけでなく、腕も持ち上げて、楽器自体も上げてみるとどうでしょうか?
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(Aさん)
私の場合、ベルの位置は顔の正面にあるんです。
顔だけが下がっている感じです。
顔を上げろって言われると、ベルがもうベルアップしてる感じになってしまいます。
かといって、ベルの高さを変えないで顔を上げると音が出ないんです。
コンクールとかになれば、見た目も綺麗に、ベルの高さとかを合わせなきゃいけないので、これ以上楽器をあげるのはできないんです…。
ごちゃごちゃしててすみません!!

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(自分)
なるほど…。見た目を揃えなければいけないとなると難しいですね。
直接見ていないので適切でないかもしれませんが、下顎を少し引いて、マウスピースをできるだけ唇に密着させることを意識してみるとよいかもしれません。
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(Aさん)
さっそく試してみました。
顎を引いて吹いてみたら、理想の姿勢になりました!
音はチューニングのB♭から上が、少しきついです。
これは練習して慣れていくしかないですか?

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(自分)
それは良かったです!
慣れももちろんあると思いますが、下顎を引いた分、今までと唇との密着度が弱まっていることも考えられるので、プレスし過ぎもよくないですが、「ペットリと密着させる」と考えてしっかりくっつけてみると、少し改善するかもしれないです。良かったら試してみてください。
あとはとにかく息がスムーズに流れていること、出てくる音がいいこと、に注目して練習してみてくださいね!
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(Aさん)
口をいつもより密着させてみたら、高い音がなりました!
しかも今までより楽にでるんです!!
吹き方変えてよかったです。

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Aさんの場合はアンブシュアを矯正するのではなく、楽器の角度を変え、唇とマウスピースとの密着を意識することで悩みが改善されましたが、必ずしも万人に当てはまることではありません。
骨格というものは人によって異なるものですから、構え方が全員一致することなどありません。しかし、まだまだ吹奏楽、特にマーチングなどだと、姿勢や構え方を統一することが重視されることは少なくありません。教本なども写真ですから、「正しい姿勢」「正しいアンブシュア」は一つしかないと思いかねません。その結果、自分にとっては吹きづらい姿勢やアンブシュアで吹き続けている人も多かれ少なかれいるのだと思います。
何を求めるか、ということに尽きると思いますが、少しでも多くの人が、自分の持っている力を最大限発揮して楽しく奏でられるような環境になっていくとよいなと思います。

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