久々の更新です。
今日は、部活で金管の生徒向けに配布したものをご紹介したいと思います。
まだまだ不十分なものではありますが、生徒が音出しをしているのを見ていて、まだまだ唇や体に負担のかかる音出しをしている子が多いなと感じたので、主にウォーム・アップやバズイングについての考えをまとめてみました。
1.音が出るしくみ
*音の正体は、「振動」です。
・音が出ているものは、すべて振動しています。
・高い音ほど振動は細かく(振動数が多く)なり、低い音ほど振動はあらく(振動数が少なく)なります。
*金管楽器の発音体(音のもと)は、「唇」です。
・トランペットでもテューバでも、唇を振動させて音を出していることは同じです。
・唇が振動していなければ、いくら息を流しても音は出ません。
*振動をつくり出しているのは、「息」です。
・息だけで音をつくり出すことはできませんが、息が上唇と下唇の間を通過することが
なければ、振動をつくり出すこともできません。
・上唇と下唇がぴったり密着していたら、息が通ることができないので音は出ません。
でも、上唇と下唇の間が開きすぎていても、唇どうしが触れ合うことができず振動が
起こらないので音は出ません。ちょうどよい息の通り道(アパチュア)ができるような
位置を見つけてあげることが大切です。
※音が平べったく詰まったようになる人は、口を横に引っ張りすぎていることが多い
ように思います。
・息の量が多すぎても少なすぎても、スピードが速すぎても遅すぎても唇はうまく振動
してくれません。出す音に対してちょうどよい量やスピードの息が流れることが大切
です。
2.唇のみでのフラッピングとバズイング
*唇をほぐし、血行を良くするための「フラッピング」をやってみましょう。
・フラッピングとは、唇全体をゆっくりブルブル振動させる動作のことをいいます。
・口周りの筋肉をほぐしたり、唇の血行を良くするのに効果があるといわれており、楽器
を吹く前に20~30秒間やってみるとよいと考えられています。この時、あくまで無理に
振動させるのではなくて、リラックスした状態で息を流し、その結果自然に唇が震えて
くれたと考えるとよいかと思います。
*必ずしも唇だけで実際に出る高さの音を鳴らすことができなくても大丈夫です。
・プロ奏者の中にも、唇のみでのバズイングができない人はいます。
・特にトランペットやホルンなどマウスピースの小さい楽器の人は、実際に出る高さの音
を鳴らすために、口の周りの筋肉をたくさん使って口を絞めてしまうことが多く、かえ
って唇をかためてバテやすくなることがあるので注意が必要です。
・唇が振動しやすい状態にあるかを確認するために、「テューバのバズイング」を軽くやっ
てみるのはいいかもしれません。最終的にマウスピースをあてたときに、実際に出す音
の高さになればよいと思います。このときも、フラッピングのときと同じように、無理
に力を入れて息の圧力だけで振動させようとするのではなく、息が流れた結果、自然に
唇が振動してくれたという状態になるように注意しましょう。
3.マウスピースでの音出しについて
*マウスピースと唇がなじむ程度にやれば大丈夫です。
・金管楽器を吹く時には、柔らかい唇と金属でできた固いマウスピースを密着させること
が必要です。そのために、毎日吹き始めるときには、自分の唇をマウスピースになじま
せてあげる時間を取ることが必要です。
・唇をマウスピースに密着させて、軽く息を流してあげるだけで十分です。その時に、唇
が反応して自然に振動が起こり、音が鳴ってくれればマウスピースに唇がなじんだと考
えることができます。
*マウスピースだけの練習をやりすぎると、唇に必要以上の負担がかかることがあります。
・マウスピースだけで吹くときと、実際に楽器をつけて吹くときでは、唇にかかる抵抗感
に違いがあります。一般に、マウスピースだけで吹いたときの方が、より唇に負担がか
かることが多いといわれています。
・マウスピースだけで吹くときには、利き手とは逆の手(右利きなら左手)の親指と薬指
でできるだけ先端を持つようにし、手で必要以上に押しつけないようにした方が、より
楽器をつけたときに抵抗が近づくといわれています。
4.音出しはていねいに
*いきなり大きな音でパラパラ吹き出すのはやめましょう。
・上にも書きましたが、唇という柔らかい組織でつくりだした振動をマウスピースという
金属の固いかたまりに伝えることで楽器は鳴るので、初めから力任せに音を鳴らそうと
すると、唇へのダメージは必要以上に大きいものになってしまいます。
・毎日、楽器をつけてはじめて音を出すときには、一番出しやすい音域の音をできる限り
小さい音でロングトーンするつもりで吹き始めましょう。このとき、音を小さくしよう
とするあまり力を入れてしまったり、無理に唇を振動させて音を出そうとしたりしない
ように気をつけましょう。「音を出す」ことが目的というよりは、「唇をなじませていく」
ということを目的として、リラックスした状態で、「息」「振動」「唇とマウスピースの密
着」を意識してていねいに音出しをするようにしましょう。
5.自分なりのウォームアップ・プログラムを決める
*今日の調子はどうかを確認するいいきっかけになります。
毎日同じようにウォーム・アップをすると、その日の調子がどうかをチェックすることが
できます。調子に応じてウォームアップを入念に行った方が良いこともあります。
また加筆修正しながら、わかりやすいものに更新していきたいと思います。
金管楽器を吹くにあたって知っておきたいこと
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