「吹いている感」を捨てて、楽に楽器を響かせる ~マウスピースとバズイングについて考えたこと~

昨日は久々に生徒に混ざって合奏に乗ってきました。曲は文化祭で演奏する予定のディープ・パープル・メドレー。ここぞとばかりにマウスピースをポップス用に買ってみたBach 10-1/2Cにしてみたのですが、これが思いの外しっくりきて、明るい音で高音が楽にバシッと決まり、しかもバテずに吹き続けることができて、何とも楽しくも嬉しくもある合奏となりました。
昔はマウスピースもでかく深く派で、最大でBachの1Cにたどり着いたこともあります。何より「吹いている感」満載ですし、音色も豊かで、学生時代は気に入って使っていました。とはいえ、高校1年から今まで基本は1-1/2Cサイズなのですが、近年2Cなど少し小さめのマウスピースでもいいかなと思うようになってきました。音色的にどうしてもダークな音が好きだから、どうしてもでかく深くにはなってしまうのですが、今はJun’sのResonan SutraとSymphony Masterを場面に応じて使い分けています。
Jun’sのマウスピースのいいところは、唇を必要以上に広げず、マウスピースが自然なアンブシュアをつくってくれるところです。慣れるまでは少し違和感はありましたが、5C~1-1/2Cユーザーという幅広い対象になっているのも何となく分かる気がします。変えてから、必要以上に力吹きしなくなりました。というより、力吹きしても、うまく鳴ってくれないので、自然に一番いい鳴らし方に導いてくれるような感じがしています。
アレン・ヴィズッティさんが公開レッスンでおっしゃっていたように、マウスピースは自分が吹きやすい範囲で一番小さいものを選び、楽に振動させて鳴らすというのも、マウスピースを選ぶ上での一つの指針になるのかもしれません。
思い返してみると、調子を崩した時でもバズイングはできたんだよなと。よくバズイングはできるのに楽器は鳴らないってどういうこと?と謎がられたものですが、もしかしたら必要以上に唇を締めにいっていたのかもしれません。その状態でさらにマウスピースあてて振動を細かくしようとした結果、ふるえなくなっていたのかもしれないと、今では推測することができます。
そう考えると、ラッパの音と同じ高さの振動を唇だけでつくる必要はないように思います。息圧だけで無理に振動させるのも危険だけれど、息が流れない状態で振動をつくっても、音はつぶれてしまうし、口に返ってくる圧力は大きくなる気がします。それがバテや唇を壊すということにもつながるような気もします。北村源三先生がおっしゃっていた、「テューバのバズイングでトランペットを吹く」ということも、ここにつながっているような気がします。
結局楽器でも、マウスピースでも、体の使い方でも、「吹いている感」を求めて必要以上に力を使って吹くモードになっていることは少なくないように思います。「何がいい」「どれがいい」じゃなくて、自分が一番楽にいい音を出せる条件を探していければいいような気がします。決めたらあとは練習あるのみです。
アンブシュア、バズイング、息。どれも大切なことですが、どれか一つだけに注目してしまうと、バランスがとれずに調子を崩してしまう原因になるように思います。常にトータルバランスを考えて、出てくる音を大切にすること。「正しい奏法」にこだわりすぎて、調子を崩さないようにしたいものです。

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